寄り・寄せ

『寄り』と『寄せ』この2つは魚突きにおいて最も重要なスキルを擁するところであり、また個人の感性に左右されるポイントでもある。

平たくいえば、気付く人は誰に教えられなくても自然とやっているが、気付かない人はいつまでたっても出来ない。 

同じところで潜っていても、同じくらい潜っていても、なぜか魚に出会わない。突けない。

それは、ここで述べる技術力の差に他ならない。

このコーナーでは、まだまだ若輩者の管理人MoCCiが感じ、工夫し、現時点で身につけた技術の一部を公開していくことにする。 ちょっとした参考程度にしてもらえたらと思う。

 

 

 

 

 

寄り①:散らさない

☆ 泳ぐ時:

 

魚に近づくために、まず何よりも先に大事なことは何だろうか? 

それは『逃げられない』ことである。当たり前のようだが、これがわかっていないことが案外多いと言える。 泳いでいる間特に何も気にせずパシャパシャ泳いでいて、いざポイントにたどり着くと『さぁ開始! よ~し、こっそり気付かれないように潜るぞ~(^^)』と来るわけである。 アホである。

魚さんはとっくのとうに怪しい侵入者が来たことに気付いている。 もう逃げの体勢に入っているか、もしくはさっさと退散した後である。 だから魚に出会えないのである。

 

言うなればこのさめさんたちが、突然『私達危なくないんですのよ~オホホ』と優しそうにしたところでもう遅いのと同じである。 

 

そんな無茶な説得に応じるほど魚たちだって馬鹿じゃない。

というわけで勝負は、駆け引きは、ポイントに着く少し前から始まっていることを意識することが大切なのである。

 

私たち人間は怪しい存在であることには変わりないが、インパクトを最低限に抑える努力はしたほうが良いということですね。 

 

魚に『うわぁあああ!!! 来た来た来た!!』

ではなく、『ん? なんだ・・? あいつ・・・?』 という程度に感じさせることが肝要です。

 

具体的に私自身が心がけていることは、

 

①ポイントが近づいたらフィンを水面より上に出さない。(水音を立てないため)

②ポイントに着いたら、微妙な位置の移動はカエル泳ぎでゆらりゆらりとする。

③『いや~、しかし今日はいい天気だなぁ~』と、のんきな事を考える。

 

こんなこと、意味ないと思いますか?  思うのは自由ですよ。 (^_^) 

 

さぁ次へ進みましょう。 

次は、

 

☆ ジャックナイフの時:

 

ジャックナイフの時は、水音は言うまでもない事ですが、魚から見た目線を意識することが大事です。

 

これが魚達の住む世界です。 

海底から水面を眺めるとこうなります。

活気に溢れていますが、平和で静かです。 

 

 ここに、水面をヌボォ…と人間が泳いで来たところを想像してください。

 

と…っても目立ちませんか?

ここで述べたいのは、この状況で正しいジャックナイフのやり方があるとかそういう話ではありません。

 

私達人間が想像しているよりずっと・・・私たち自身の存在、動きが“目立つもの”だということを意識して欲しいということです。

 

この写真に示すような魚サイドからの視点を意識しているかいないかでは、おのずから動きもより慎重になるのではないだろうか。

 

例えば岩下にいる根魚をターゲットに潜る場合、岩から離れた所からオリャー! と派手派手にジャックナイフをするのと、下から見えないように岩肌をかすめるように潜っていくのでは目立ち度が全然違う、ということを考えるようになる。

 

必ずしも、岩肌を舐める潜り方がいつも正しいわけではない。   むしろ逆の方が良い場合だってある。

 

それに濁った海ではあまり関係ないし、深いところまで潜る場合も、それほど水面の動きは重要ではない。  

 

ただ『下からの視点』、これを意識したうえでジャックナイフをする場所、タイミング、仕方を選択する方がより効果的ですよ・・・ということが言いたかったのである。

 

心の片隅に置いておいて、ぜひ意識してみてほしい。  

 

 

☆ マスクブロー・耳抜きの時:

(※マスクブロー:潜水深度が増すと水圧によりマスク内の空気体積が減少するが、これにより顔が吸盤のように吸い付けられることを防ぐために鼻から息を出して圧力を調節することをマスクブロー、またはマスクの圧平衡という。耳抜きも、圧平衡の一種である。)

耳抜きの技術はここでどうこう言うまでもないので触れないが、こと魚突きを主眼に置いた潜りにおいてはより繊細な圧力調節が必要だということを伝えたい。

 

時たま『~mごとに耳抜き』というワードを耳にするがあれだとちょっと具合がヨロシクない気がする。

 

耳抜きは圧力を感じる前から、常に徐々に断続的に弱め弱めにかけていくことで、一度に耳にかける負担を分散させ、また耳抜き時に発生するポンという音をプスゥー・・・という静かなものにすることが出来る。

 

マスクブローに関しては逆に、圧力を感じたら随時鼻から空気を絞って送ってやるようにすると良いと思う。

 

マスクブローの注意点は、空気を送り過ぎてマスクから空気が漏れることである。

 

これは酸素量の無駄な消費にもなってしまうし、ポコポコと妙な音も発生させ、さらに泡が目立つという最悪に勿体無いことなので、なんとしても注意したいところだ。

 

 

 

 

☆ 器具を持ち替える時:

 

 

通常魚突きをするためには手銛なりスピアガンなり、何かしらの道具を持って潜水しなければならない。

 

 

長く魚突きをしている人なら必ず経験があると思うのだが、こんなことは無いだろうか。

 

『今日、気分転換に手銛を陸に置いて潜ってみたんだよ。 

 そしたらいつもより魚が逃げないで近くまで寄ってきたんだよ!!』

人間がいかに海の中で不自然で目立つ存在かということは重ねて述べるとおりだが、その我々をさらに目立たせて不自然で魚にインパクトを与える存在にさせているのが皮肉なことに実は手銛やスピアガンといった道具類である。

 

フィンのように滑らかに動いて水中を泳ぐ際に役立つわけでもなく、役に立ちそうにも見えない。

 

魚からしたらそんな器官を備えた海の動物はいないのだから、怪しく見えて当然である。

 

魚は側線という部分で、水中の振動や音を感じ取ることが出来る。

手銛やスピアガンを振り回す時は、フィンを動かしたりする時とは違って思い切り乱流を生み出しながら振り回すので、ブルブルブル・・・という振動が生まれる。

 

こんなことをしていたら、用心深い魚は逃げてしまうに決まっているのである。

 

そんなわけで道具を持つとき、動かす時は、出来るだけ水の抵抗を受けない形で動かすよう工夫しなければいけない。

 

スピアガンの方向を大きく転換する時は車がUターンする時のように、一度軽く引いてからまた突き出す。

 

手銛は、いざ撃つ時、標的を絞る時までは先端近くを持って泳ぐ(※レストタブ必須)。

 

こういうことを心がけるだけでかなり振動は減らすことができ、また素早く方向転換することも可能である。

 

 

加えて、私達が起こす水中の音の中でも特に魚たちが警戒する音は水中にあまり存在しない物同士の擦れ合う音(ゴムとゴム、または金属音など)や、強いテンションのかかった物が発生させる音(ゴムの追い引き音等)である。

 

こうした音を出来るだけ出さないように心がけるなら、道具を持っていない状態に限りなく近づけていくことが出来る。

 

(※殺気うんぬんの話はこれ以前の問題です。 もともと殺気を消せないようではダメ。)

 

 

 

寄り②:寄れる魚の選定

“ 最終的に魚が突けるかどうかは、実際に自分の持つ漁具が届く距離まで寄れるかどうかにかかっている。 そして寄れるかどうかは、寄れる魚を見つける(選ぶ)ことができるかどうかにかかっている。”

 

魚を突きたいと思ったら、突きやすい魚を突けば良い。  これが私の持論である。

 

と言っても、別にカワハギとかグレとかを突けと言っているわけじゃないし、サンバソウばっかり突いていれば良いというわけでもない。

 

同じ魚でも突きやすい状況で、突きやすい状態の奴を狙った方が楽で良いよ・・・て事です。

 

そこで『寄れる魚の選定』これが重要になってくるのである。 

 

 

 

☆群れ:

 

  第一項は<群れ>。

 

そう、突きやすい魚は群れの中にいる。

 

こういう言葉は、よく聞く言葉ではないだろうか。

 

『赤信号、みんなで渡れば怖くない。』

 

人は周りにたくさん自分と同じ立場の存在がいると少々大胆になるものだ。

魚も生き物なので、基本的には人間と同じように、一人で居るときよりも大人数で集まっている時の方が警戒心が薄い。

 

『これだけいるんだから、まさか自分はやられないだろう』とでも思っているのだろうか。

真相のほどは定かではないが、単独行動の魚の行動と比べるとその差は歴然としている。

 

さて、群れを成している魚には比較的寄り易い。 

これはわかった。  だが実はこれを知るだけでは不十分である。

 

少し例をあげて考えてみよう。 思い描いてみて欲しい。

 

街でパフォーマンスをしている大道芸人がいたとする。 

 

みんなは最初遠巻きにチラチラみるだろう。

みんな~見て行って~!!』 と大道芸人は叫ぶ。

 

なんだなんだ・・・と近寄って様子を伺うだろう。

   

が、

『そこのお姉さん!! ねぇ! あなた!』と直接自分だけに話しかけられるとどうだろう。

 

焦らないだろうか。 

 

たくさん人間がいる中でチラチラ見るだけのつもりだったのに! 

 

  え!!?  

こんなにたくさんいるのになんでアタシが!! 

 と思うに違いない。

 

  要点を掴み取って頂けただろうか?

 

 

我々が魚にアプローチしていく時にも同様のことが言えるのである。

  

群れを成している魚は警戒心が薄く、寄り易い。  

ただし、その群れに近寄る際は群れ全体を意識してぼんやりとしたアプローチにしなければいけない。

 

中に特別大きい魚がいて、ハァハァしてしまうのは理解できる! 

『 あの子が一番かわいい! 』

よくわかる! 

 

だがそこは我慢がまんなのである。  

 

自分の逸る気持ちを押し殺して、下心を抑えて 『 みんなぁ~ 』と言って近づく心が大事なのである。

 

そうすれば。  

群れにまぎれて一番かわいい子もちょっぴり油断して近づいてくれる機会があるのである。

 

※以下執筆中

海豹旅団